老いてたまるか!

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熊野古道(中辺路)を歩いてみた

 熊野古道

熊野古道熊野三山・・は、よく聞くが九州人からすると縁遠く詳しくは知らない。せっかく和歌山に来たので歩いてみることにした。

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そもそも熊野古道って何だ?

歩く前に調べてみると、”熊野三山”へのかつての参詣道(さんけいみち)とある。参詣道?そんな言葉知らんぞ!

結局のところ、お寺はお参り、神社はお詣りなので神仏習合の時代、両方の”オマイリ”をくっ付けたのだろう。

その参詣道は大阪からの紀伊路高野山と熊野を結ぶ小辺路、伊勢と熊野を結ぶ伊勢路紀伊路を経て海岸線を南下する大辺路紀伊路を田辺から山路に入り、本宮に向かう中辺路の5ルートがあって、紀伊路を除く4ルートが世界遺産に登録されている。

熊野三山って何だ?

熊野本宮神社、熊野速玉神社、熊野那智神社を合わせて熊野三山と呼ぶらしい。

日本古来の神道に大陸から来た仏教が一緒になって、神仏のすまう浄土として崇められるようになったみたいだ。

調べ始めたらキリがないので、ルートを決める。

中辺路(なかへじ)ルート

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このルートが各時代を通じ最も利用された参詣道で今でも一番ポピュラーな参詣道ということで、ここを歩いてみることにした。

ルートは核心部の滝尻王子から熊野本宮大社までの約38キロを二日で歩く。

1日目(24日) 滝尻王子→近露王子(なかへじ美術館)約15キロ

2日目(25日) 近露王子(なかへじ美術館)→熊野本宮大社約23キロ

車があるので、1日目、ルート途中のなかへじ美術館前バス停の広場に車を置いて、バスで出発点の滝尻王子まで移動し古道歩き開始、1日目滝尻王子から近露王子までの約15キロ、2日目は熊野本宮大社前のバス停に車を置いて、なかへじ美術館前までバス移動し残りの行程約23キロを歩く。行程のバランスが悪いが駐車場所がないので仕方ない。

1日目

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なかへじ美術館前バス停、広く車は止め放題で奥にトイレがあるので車中泊には十分だ。そしてこのバス停から滝尻までバスで移動。「6時54分発龍神バス約20分740円」

 

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滝尻バス停から橋を渡った所が滝尻王子、出発地点だ。

 

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世界遺産の石板がある。

 

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滝尻王子に参拝し出発!

 

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こんな感じだ。

 

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胎内くぐりの岩、安産祈願で妊婦が通るらしい。

 

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ルートには○○王子が点在する。 九十九王子と呼ばれ、九十九というのは実際の数ではなく”数が多い”という比喩表現らしい。現在の数は分からないが、○○王子跡というのも多い。

この○○王子は、熊野権現御子神(みこがみ)と考えられていて、熊野権現が親神で王子が子神というわけだ。

 

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中辺路ルートの多くは、杉林の中を歩く。峠道で展望もほとんどなく。日も当たらないので帽子もいらない。

 

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杉の木の手入れが良くされている。

枝打ちがしてある。右奥の木と比較したらよく分かるが、下枝が綺麗に切り落としてある。

枝打ちは、枝をノコギリなどで切り落とすが、害虫や病気を防ぐこともできるし、木の価値が上がる。

枝があると板に加工した時、節だらけの板になるが、枝打ちをしておけば節のない綺麗な板ができるので高く売れる。

登山でいろんな山に行くが、最近は林業の衰退で手入れされない山が多い。さすが世界遺産熊野古道だ。 

 

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牛馬童子〜花山法皇の熊野詣の旅姿といわれ・・・説明書きがあったが長くて忘れた。

他にもいろんな言い伝えのあるのもが点在する、古事記には…とか、聞いたこともない平安時代の書物には…とか、いずれにしても中世の熊野詣の反映ぶりが窺える。

 

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1日目のゴール近露王子に到着。

2日目

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熊野本宮前のバス停だ。ここにも駐車スペースがあるが、夜間はトイレが閉鎖になるとのことで、近くの道の駅で車中泊し、朝一でここに車を止め近露王子までバス移動する。「5時49分発龍神バス約1時間1090円」


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ここで降車し2日目スタート!23キロを歩く。


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1時間ほど歩いたところに、こんな商売をしている奴がいる。

丁度、ひと汗かいて喉が渇いた頃だ。バヤリースオレンジ(懐かしい)を買って飲んだ!


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二日目もこんな感じだ。杉林が美しい。

 

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皇太子殿下行啓の地の石柱だが、4〜5箇所あった。中世史の歴史研究のため熊野古道の一部を歩かれたとか。


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一里塚跡。当時は一里ごとに塚が盛られ松の木を植えて目印としたらしい。和歌山より二十八里とある。112キロだ。


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親切に水場を作ってある。冷たくて美味しい。

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大鳥居が見える。もうすぐゴールだ。


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ゴール!拝殿前の狛犬もマスクをしている。何か滑稽だ。


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御社殿だ。確かに神聖かつ荘厳な感じがする。


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八咫烏(ヤタガラス)のポスト。八咫烏は足が3本ある。鬼滅の刃のカラスとは違うみたいだ。


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神仏習合の象徴だろう。


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正面の鳥居。裏手から入ったので写真が最後になった。

 

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腹が減ってたまらないので、茶店でいただいた。
蕎麦とめはり寿司だ。蕎麦には細長く切った大根が乗っかっていて蕎麦と一緒につゆにつけて食べる。シャキシャキとした食感がいい。

めはり寿司は熊野地方の郷土料理で具の入ったおにぎりを高菜の葉で巻いたものだ。

蕎麦750円、めはり寿司350円で1100円だった。観光地なので高いのも仕方ない。 

GPSログ 

GPSログを詳しく見ると、39.6キロになっている。

熊野古道中辺路の感想

同じ行程を歩く人が7〜8人いたが、二十歳位の若者1人以外、全員がガッツリ登山装備だった。

古道といっても峠から峠へと進んでいくので登り下りの繰り返しだ。二日で山道約40キロはかなり厳しい。

僕の感覚としては、二日続けて登山に行った感じだ。

バス停で会った古道に詳しい人が、二日目の僕の行程を聞いて、食い気味にコースタイム9時間と言っていた。

1日目のコースタイムは恐らく6時間くらいだろうから合わせると15時間だ。

僕は、登山が趣味で歩くのも早い方なのでコースタイム以内で歩けたが、普段運動していない人には厳しい(いや無理)コースだ。

また、登山と違って展望がないのが残念だ。登山は山頂につけば展望が望めるし達成感もある。

熊野古道は、峠越えの道なので、展望はない。登り下りが激しいので、集落に降りることもあるが、後は、ひたすら杉林の中を歩くのみだ。

古道好きとか歴史を肌で感じたいといった人でないと面白くはないだろう。心身の鍛錬のため、自分に挑戦するのはいいかもしれない。

僕はやっぱり”山”の方がいい!