天気は曇りだったが、この時期どうしても登りたかった市房山に行ってきた。
市房山は、九州中央山地に位置し、熊本と宮崎の県境にそびえる標高1721メートルの山だ。日本二百名山、九州百名山でもある。
登山口は宮崎県側と熊本県側にあるが、佐賀県の鳥栖市から行くので、熊本県側から登る。この山は、少々アクセスが悪い。登山口までは、九州自動車道人吉インターを降りて40キロ、約1時間かかる。
車は、市房山キャンプ場駐車場に止める。林道はまだ続いていて、林道終点に7〜8台の駐車スペースがある。シーズンになると、そこの路肩にも駐車する奴がいる。
この市房山キャンプ場の入り口に「林道終点の駐車場は混雑し、車上荒らしも発生しているので、登山者はここに駐車してください。」と書いている。
だが、駐車しているのは僕だけだ。
駐車場から車道を7〜8分歩くと登山口がある。
登山者記録届の中には、登山届が綴られていたが、昨日までの登山届がなかった。
記載があったのは、今日の分で17歳の高校生4人組と僕だけだった。
駐在さんかなんかが取りに来ているのかもしれない。
山麓に市房神社があるが、そこまでの参道、約1キロに樹齢700年〜1000年と言われる市房杉が立ち並ぶ。その数52本らしい。この杉は圧巻だ。多分、知らない人が多いだろう。マイナスイオンどころじゃない。
写真では表現できないが、大きな杉は、幹の周囲が8メートルを超えている。
僕は、屋久島にも何度も行ったが、屋久杉も樹齢1000年以上の杉がいっぱいあるが、こんなに乱立していない。また、樹齢数千年と言われる縄文杉は、樹高が低いが、ここの杉は樹高が高い。縄文杉は、今では少し離れたところに見晴台みたいなのが作られていて、樹木を触ることも近づくこともできないが、ここの杉は触り放題だ。
参道はこんな感じだ。
山に登らなくても、この参道を歩いて市房杉を肌で感じるだけでも価値がある。市房杉は、皇居御所の資材としても使われた歴史があるらしいが、納得する。
奥の高台に市房神社がある。ここまで、1時間かかる。ここが4合目でここからが登山本番だ。
ここは、人吉藩主の信仰があつく、地元では”お岳さん”とか”御岳参り”と言われて、昔は賑わっていたらしい。
4合目の市房神社を過ぎると本格的な登山道となる。5〜6合目は急峻な登山道で、ロープや梯子で登りあがる。ここで体力を使い過ぎると、後でバテるので、スローペースで登る。
約1時間は辛抱だ。
7合目を過ぎると歩きやすい登山道になる。しかし、まだ1時間はかかる。
5〜6合目の急峻な登りが、ここに来て効いてくる。後5分が結構きつい。
今日は、視界が効かなかったが、天気がよければ、雲仙、阿蘇、祖母、霧島山麓が望める。
先に登っていた高校生に撮ってもらった。4人組だが、どうも地元の高校生みたいだ、ゲームとかして遊んでいる高校生が多いのに、素晴らしい若者だ。
これは、去年の写真だ。今年は、山頂についてから雲が湧き上がり見えなくなった。
これは心見の橋と言って、山頂から縦走路を7〜8分進んだところにある。岩の間に石が挟まっているが、この石の上を歩いて渡る。心悪きものは渡れないという。是非渡ってみて欲しい。
結構厳しい山
この山は、初心者には少し厳しい山だ。僕が止めた駐車場の標高は600メートル弱で山頂が標高1721メートルだから、標高差が1100メートルを超える。
山頂までの距離は、約3.8キロだ。標高差があっても距離が長ければ、登山道が緩やかということだが、ここは少し急だ。山岳地図の市房神社の後は、等高線の間隔が狭いことがわかる。
九州の一般的な山は、標高差が600〜800メートル位で2〜3時間の山が多いが、ここは、3時間半〜4時間は見た方がいい。
僕は何度も登っているが、それでも3時間以上かかった。林道の終点に車を止めると、3合目付近なので、約40分短縮できる。初心者でも3時間程度で登れるだろう。ただし、林道は何本にも分かれているので、分かりにくい。
しかし、この山の大きな魅力は、市房杉なので、是非、市房山キャンプ場から登って欲しい。市房杉に手を当てて、目を閉じると大きな力を得たような気がする。
温泉
車に乗って5〜6分も戻ると湯山温泉がある。その中に湯元温泉というのがあって、公共の駐車場の目の前なので、便利がいい。(入浴料410円)
ただ、ここの温泉はぬるい。夏はいいだろうが、露天風呂に入っていても寒かった。
桜
湯元温泉から3〜4分も戻ると、市房ダムがある。
桜はピークを過ぎていたが、ここは是非紹介したい。ここのダムの周囲13キロに桜が咲き乱れる。1万本桜として熊本県下では有名らしい。
毎年、この広場でイベントが行われている。露天が並び、親子連れで大賑わいしている。残念だが、今年は新型コロナの関係で中止になった。
僕が、最初に市房山に来たのも、たまたまこの時期で、帰りにこの会場に立ち寄ったら、時間も遅く店を閉める途中のおばちゃんが、手招きして冷えたトマトをくれた。
市房山の登山時期としては、熊本の天然記念物であるアケボノツツジが咲き乱れる4月下旬から5月上旬と紅葉の10月だろうが、僕は桜の時期にくるようにしている。
市房山の魅力は、市房杉と急峻で登りごたえのある登山道、そして、ここの桜だ!
今年は、10日から2週間遅かったが、これただけで満足だ。
来年は、桜祭りで賑わっていることを願う!