老いてたまるか!

残された人生で今が一番若い!山旅と雑記のブログ

登山靴の考察

軽登山ならトレランシューズがいい

登山を始めたばかりの方には、是非参考にして欲しいが、一泊2日程度の山であればトレランシューズがベストだ。

ただし、連泊縦走、3000メートル級の岩場、冬山、雨天時の登山、特に体重が重い人、歳をとって足に不安のある人は別だ

登山の三種の神器と言われるのが、登山靴、ザック、レインウェアだが、2015年に屋久島の宮浦岳に登った時のことだ。一泊2日のテント泊に、スニーカーみたいな靴を履いている人がいたが、良くみると靴底が黒い。スニーカーの靴底は普通白いはずだ。

聞いてみると、トレランシューズだという。最近こそトレイルランニングもメジャーになったが、その頃までは、僕も良く知らず、そもそも登山は登山靴という固定観念があった。

長年、山に登ってきたが、そう言えば登山靴は、歩きにくい。足首を固定するからだ。

翌年、登山靴を買い替える時にトレランシューズを買ってみたが、非常に歩きやすい。

僕は、それ以来、トレランシューズを常用している。2017年に再び、屋久島に行ったが、全く問題ない。一泊2日のテント泊なので、ザックも50Lで10数キロの荷を担いでいる。翌2018年の南アルプス鳳凰三山)もトレランシューズを履いた。

一泊2日程度の登山までなら、登山靴より、トレランシューズが良い。ただし、種類が様々なので注意が必要だ。

登山靴の種類

大きく分けると、ローカット、ミドルカット、ハイカットの3種類だが、山で見るのは、ほとんど、ミドルカットかハイカットだ。

その違いは、簡単にいうと、靴底の硬さが違う。ハイカットシューズは、靴底に鉄板が入っていて、足首もほとんど曲がらない。冬山でアイゼンを装着するためだ。

イカットのデメリット

靴底が硬くて重く、足首も曲がらないので、普通歩くようには歩けない。

足首が使えないから、蹴って歩けない。(ふくらはぎが使えない。)太ももしか使わないことになり、歩幅も普通の半分位だ。歩きにくく疲れる。

下りで爪を傷める

ソールが硬いということは、かかとも爪先の部分も硬い(怪我防止もある)ので、爪を痛めて爪が黒くなる。(元に戻るのに2年位かかる)多くの人が経験しているはずだ。

爪を傷めるので、1〜1.5センチ大きめのサイズを勧めるが、要はフィットしない。

靴紐で締めればいいが、アッパー部分も硬いので、個人差もあるが、フィットしにくい。

急峻な山は慣れないと登りにくい。

足首が曲がりにくいということは、登る段差が大きいと登りにくいことになる。段差が1メートルあったり、鎖場など足を大きく上げるところは慣れないと登りにくい。

イカットのメリット

靴底が厚いので、長期間の縦走では疲れない。足首捻挫の不安がない。今は、ほとんどゴアテックス素材なので、雨天時に足(靴下)が濡れない。

縦走で靴下が濡れると最悪だ。足が冷えて寝れないこともある。縦走時には替えの靴下は持参するが、雨が続くこともある。

ローカットのデメリット

足首の捻挫と靴のソールの問題だ。

僕は、還暦だが、山で足首を挫したことはない。当然、浮石で足をひねる程度のことは良くあるが、捻挫はしない。

歩くには、足首の縦の動きは必要だ。捻挫防止には、足首の横の動きを止めればいい。不安な時は、足首の横の動きを抑えるようテーピングしている。面倒だが、それでもローカットが歩きやすい。

一般的に底登山用はソールが薄く、靴底のゴムの溝が浅くて濡れた岩で滑るものもあるので要注意だ。

靴選びのポイントは足にフィットしていることと程良い厚みで滑らないソール

趣味を始める時、まずは格好から・・とういうことで、靴やウェアーから揃える人が多い。

訳もわからないまま、店員に勧められて買うことも多いだろう。店員の中には、ろくに山に登ったことのない人も多い。

足にフィットする靴選びは、はとにかく専門店を回って履いてみるしかない。

ローカットのものが合いやすい。ハイカットモデルは足首の形も様々なので、当然合いにくい。

トレランシューズは、一般的に軽くて、ソールの厚みも程良く滑りにくい。

登山用のローカットシューズも種類が豊富になってきたので、程よく厚みもあり、良いソールを使っていればいいだろう。

ワラジでも富士山に登れる(登山靴の歴史)

そもそも昔は、日本に登山靴はなかったわけで、戦後日本の山岳会が海外に遠征する際、ヨーロッパの登山靴を輸入して使用したのが始まりらしい。現在のキャラバンが1950年代にヨーロッパの登山靴を参考に、日本人用に開発し現在に至っているそうだ。
登山の歴史は、不明だが、少なくとも富士山でも1000年以上の歴史があると言われている。当時は、ワラジしかなかったはずだ。

ワラジでも富士山に登れるのだ。その後は地下足袋だろう。今でも山業で白い地下足袋で登る人を見かける。

先日、山に行った時に、数組の子供連れがいたが、親は登山靴だったが、子供はスニーカーだ

グレートレース

1ヶ月ほど前、NHKでグレートレースを放送していた。メキシコの山岳地帯250キロを走破するレースだ。プロも参戦するこのレースで勝ったのは、地元のララムリという民族だが、彼らが履いていたのは、古タイヤのゴムから作ったワラーチと呼ばれるサンダルだ。

古タイヤのサンダルで、250キロの山道を駆け上がり、駆け下りて、なおかつ優勝する。

プロは当然、トレランシューズ。我々は、少し甘えすぎてはないか。

剣岳

剣岳という映画があったが、実話のようだ。見た方は分かると思うが、明治時代まで前人未到で登頂困難と言われた剣岳だが、そこには、名も無い修験者が登頂した痕跡があった。

残されていた鍚杖の年代分析から奈良・平安時代ぐらいの物と分かっている。当然、草鞋(わらじ)で登ったのだろう。

登山ブームで専門店もあの手この手で売り込んでくる。商売だから当然だが、登山靴でないと登れない・・何て山はないし、何の規則も決まりもない。登りやすければ何でもいい。固定観念は捨てよう。